ラングザマー 世界文学でたどる旅  イルマ・ラクーザ ☆新本

Category : 文学 , 外国語の文学・文学論


☆古本ではなく新本です☆

ラングザマー 世界文学でたどる旅  
イルマ・ラクーザ
山口裕之訳 
共和国
2016年11月


本を読むということは、生命に必要なもの、愉しみにみちた習慣、遊び心をもちながらおこなう軌道修正である。(本書より引用)


国際的な作家であり翻訳家、そして世界文学のしたたかな読み手である著者が、本を読むことによって「ラングザマー(もっとゆっくり)」とした時間の回復を試みる、極上の世界文学ガイド/読書論。本書が著者の単行本としては本邦初訳。
いま、わたしたちを取り巻くこの世界から脱出し、本のなかを流れる時間に身を委ねて、まだ見ぬもうひとつの日常、もうひとつの風景へ――。


「優れた小説を読んでいると、それぞれの単語や文章が様々な記憶や連想を呼び起こし、先へ読み進みたいという気持ちと比例して、その場にとどまり、もっと味わいたいという気持ちが強まる。すると時間は前方にではなく、深みに向かって進行し始める。
 暴力的な情報にふりまわされ、溺れそうになりながら生きるわたしたちは、本の中に何百年も何千年も保存された言葉を一つ一つ手にとって吟味することで、居場所をつくることができる。メディアから流れ出る情報は、爆撃、テロ、殺人の行なわれた場所と死者の数を次々投げつけてくるだけで、自分が何をしたらいいのかをじっくり考える時間は奪われ、ふりまわされ、疲れるだけの日常からどうやって逃れたらいいのかわからなくなる。
 そんな中、過去に書かれた言葉を注意深く読むことで、自分の時間の流れをつくることができる。ゆっくりとした時間、ゆっくりしているけれども過去へ未来へと何千年も跳躍できる力強い「遅さ」である。文学を読むことによってそういう時間が得られるのだ、という当たり前のようで難しいことを、この本はしっかり伝えてくれる。」
(多和田葉子 本書より引用)



目次

はじめに

1 読書(愛)        Lektüre    (Liebe)
2 仕事(優雅)       Arbeit     (Anmut)
3 自然(何もしないこと)  Natur      (Nichtstun)
4 速さ(限界)       Geschwindigkeit(Grenze)
5 文字(眠り)       Schrift      (Schlaf)
6 タイムアウト(老い)   Auszeit     (Alter)
7 ゆとりの時間(メルヒェン)Muße      (Märchen)
8 体験(スローライフ)   Erlebnis     (Entschleunigung)
9 旅(憩い)        Reise      (Ruhe)

  出典
  訳注

日常を離れた時間の流れの中で  多和田葉子

訳者あとがき  山口裕之

前書きなど

「過去に書かれた言葉を注意深く読むことで、自分の時間の流れをつくることができる。ゆっくりとした時間、ゆっくりしているけれども過去へ未来へと何千年も跳躍できる力強い『遅さ』である。文学を読むことによってそういう時間が得られるのだ、という当たり前のようで難しいことを、この本はしっかり伝えてくれる。」
——多和田葉子

著者プロフィール

イルマ・ラクーザ(イルマ ラクーザ)

1946年、スロヴェニアに生まれ、現在はチューリヒに暮らす。小説家、アンソロジスト、研究者として、またロシア語からマリーナ・ツヴェターエヴァ、フランス語からマルグリット・デュラスなどの翻訳家としても国際的に活躍している。
ペトラルカ翻訳賞(1991)、ライプツィヒ・ヨーロッパ相互理解賞(1998)、シャミッソー賞など多数の文学賞を受賞。単著としては本書が本邦初訳となる。ほかの邦訳に、『ヨーロッパは書く』(ウルズラ・ケラーとの共編著、2008)、短篇小説「歩く」(『氷河の滴——現代スイス女性作家作品集』所収、2007、以上鳥影社)がある。

山口裕之(ヤマグチ ヒロユキ)

1962年、広島に生まれる。東京外国語大学教授。東京大学大学院総合文化研究科後期博士課程修了(学術博士)。専攻は、ドイツ文学、思想、表象文化論。著書に、『映画に学ぶドイツ語』(東洋書店、2012)、『ベンヤミンのアレゴリー的思考―デーモンの二義性をめぐる概念連関』(人文書院、2003)など。訳書に、フローリアン・イリエス『1913 20世紀の夏の季節』(河出書房新社、2014)、『ベンヤミン・アンソロジー』(編訳、河出文庫、2011)、カール・クラウス『黒魔術による世界の没落』(共訳、現代思潮新社、2008)などがある。

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