大いなる夢よ、光よ 津島佑子

Category : 文学 , 日本語の文学・文学論


大いなる夢よ、光よ 
津島佑子
講談社
1991年1刷

カバー背にヤケ・傷あり。
カバー・本ともに状態良好です。


よく見届けて。眼をそらさないで。息子を見失ったその人は、それでも夢をたゆたい記憶を辿りながら、共に過ごした時間のあの喜びを見届けてくれる存在を求めつづけた。囚われなき情愛を通じて、人生を再び歩み始めるまでの道程を描く傑作。

時間が流れつづけていることが、こわいのではない。時間を常に意識しながら生きつづけられない自分が呪わしく思えてならない。広太の声が聞けなくなるとは知らずに、上の空で広太があれこれ話しかけてくる声を聞き流していたのだった。広太に明日にはなにも食べさせられなくなるのを知らずに、普段通りの食事を作っていた。広太とともに過ごすあわただしい毎日がつづくものと思いこみ、広太を叱り、広太の欲しがるものも買ってやらなかった。なによりも大事な一刻一刻を、無駄に見過ごしつづけていた自分のうかつさがおそろしかった。しかし、広太のことで充分すぎるほど後悔し、それで大事な時間を取り逃がさずにすむようになった、というのならまだ自分に慰めを感じることができる。実際には、相変わらず、取り逃がしつづけているのだ。今、この時間のすべてを自分の体に、正確に、はっきりと刻みつけておかなければならない、とわかっていても、それでもいざとなると、ぼんやりその大事な時間を見送ることになってしまう。それを繰り返しつづけてしまう。
(本書より引用)

販売価格

1,000円(内税)

購入数

この商品について問い合わせる
この商品を友達に教える
買い物を続ける

カライモブックスとは

カライモブックス

実店舗ホームページ

ブログ

フェイスブック

ツイッター(新入荷情報)

ツイッター(カライモJカライモNの日常のつぶやき)

買い物カゴ

買い物カゴを見る

検索

カテゴリー

Feeds

RSS - ATOM